事務局 2013年度活動方針


今、山を巡る状況は大きく変わりつつあります。中高年登山者ばかりでなく、若い人々も山に戻り始め、山に登る人は確実に増えています。文科省の調査では登山愛好者の数は800万人ともいわれていますが、日本山岳協会・日本勤労者山岳連盟に所属している人はわずか10万人にすぎず、その多くは未組織の登山者です。そのような状況の中、我々は自分たちの山登りだけではなく周囲にも目を配る必要が出てきたのではないかということを感じています。長野県山岳協会の上部団体である社団法人日本山岳協会は今年から公益社団法人へと変わりましたが、これも単に名称の変更ではありません。登山は今や多様化して、様々の人が様々なタイプの登山を志向していますが、大別すると「高峰やより困難な登攀を目指す卓越登山」、「健康のための登山」、「競技登山」に分けられるかと思います。そのような登山界において、我が国登山界を牽引する責任組織として、「安全登山の啓発」「山の環境保全」「山岳文化の発展」のため、社会に親しまれ、登山界に期待されるような日本山岳協会を目指すというのが、その本旨です。しかしそれは、山好きが集まって作ってきた任意団体としての本来的な意義、すなわち我々自身の登山の充実、足元の山岳会の活性化があったればこそということは言うまでもありません。
本年度はこの二つの観点を十分意識し、「登山活動を行うための山岳協会であること」という原点に立って加盟団体、会員の皆さんの協力を求め、未組織登山者にも長山協の活動を広くアピールしながら長山協の活動を進めていきたいと考えています。
支部、委員会それぞれが様々な事業を計画していますが、何のためにやるのかを明確にした上で、これらを協会員へ広く周知し、協会活動と協会員の登山活動との関わりの理解を深めていきます。そのために各委員会の連携を今まで以上に密にし、効果的かつ効率的な事業実施を検討し、委員会活動の活性化についても研究検討を行います。また、昨年に引き続き支部活動への副会長等の参画を推進し、相乗的な活性効果を目指します。
多くの方々のご協力で実現した山岳図書資料館の運営も昨年度から具体化しています。山岳文化の殿堂として、協会員の皆さんの意見も参考にしながら使い勝手のよい施設となるように育てていきます。また、指定管理者として2年目となる山岳総合センターを「山岳に関する研究、調査と健全な登山の教育事業の場」と位置づけて、協会の社会還元の重要な柱と考えて運営をしていきます。また、現在山を巡って社会で問題になっている「遭難事故防止」「山の日」「入山料」「トイレ」などの諸点についても、登山者の団体である長山協の果たせる役割を考えながら、適切な対応をしていきたいと考えています。

登山の普及・技術の向上・啓発活動
支部による夏山登山教室のさらなる充実に努めます。
山岳総合センターの運営に参画し、様々な機会を捉えた正しい登山の普及を推進し、併せて協会員への還元を促進します。
自然保護と登山者の果たすべき役割、共生のための一定の方向性を導き出す活動を関係機関とも協議しながら推進します。
2009年度から取り組みを始めた山のトイレ問題や野生生物と山岳環境についての学習などを通して、更に踏み込んだ状況把握に努め、その方向性を探ります。
ジュニア層の育成を考え、クライミングジム等との連携や登山を通じた自然体験など幅広い活動を具体的に推進するとともに、学校登山への支援について検討を行い安全で楽しい登山への誘いの可能性を探り、将来の登山愛好者育成に繋げることを考えます。
安全登山の観点から事故事例に学び共有することにより、遭難事故防止に努めます。
中高年登山者への安全登山の普及、未組織登山者の組織化等、最近顕著になってきている現状をしっかりとみつめ現実的な対応を研究していきます。
「SPO2データ収集」、「やまなみへの寄稿」、「山のセミナー講演」等、登山者の立場に立った医科学委員会での研究の展開を進め、協会員への普及を促進します。

競技登山
競技部とジュニア委員会が連携をとりながら選手の発掘と育成に取り組み競技力の向上に向けた支援を行います。
競技部と指導委員会が連携して2008年度から実施された国体種目変更に対応する組織形態の確立、審判員などの育成に努めます。

国際登山・国際交流
国際登山をめぐる厳しい情勢を鑑み、協会員の国際登山実施のために、組織的な研究、工夫、努力をします。
長年培ってきた国外の山岳団体との企画等を通じ、交流を深めます。

事業部
新たな課題、例えば日山協特別共済への対応方針等を他の委員会との連携により研究検討し、長山協の行うべき事業の方向性を研究していきます。

事務局(総務・財務・やまなみ・ホームページ)
やまなみとホームページのそれぞれの特性を活用した情報発信の実施に努めます。
紙ベースの情報と電子データを併用しながら、効率的な情報伝達に努めます。
ホームページの充実、適切な情報更新のための方策を検討し、実施します。
支出節約と収入の確保に努めた財務運営を継続します。

山岳図書資料館
「山岳図書資料館」について、山岳図書資料館運営委員を中心に大町市と協議してよりよいものとなるよう協力をしていきます。

山岳総合センター
指定管理2年目の「長野県山岳総合センター」の運営が軌道にのるよう、山岳総合センター運営管理部員を中心に「NPO法人信州まつもと山岳ガイド協会やまたみ」と協力して事業を進めます。